最近、「トリバゴ」という名前をテレビCMで頻繁に見かけるようになりましたが、実際のところこの会社がどのような企業なのか、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。ホテル料金比較サービスを提供するトリバゴですが、一方で「危ない」「意味ない」といった否定的な評価も散見されます。
本記事では、トリバゴ会社の基本情報から事業内容、さらには業界での評価や利用する際の注意点まで、幅広い角度から徹底的に解説していきます。エクスペディア・グループの子会社として運営されている実態や、NASDAQ上場企業としての側面、そして他の旅行比較サイトとの競合状況についても詳しく紹介します。
この記事のポイント |
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✅ トリバゴ会社の基本情報と企業概要が理解できる |
✅ サービス内容とビジネスモデルの仕組みがわかる |
✅ 他社比較での評価と問題点が明確になる |
✅ 利用時の注意点と代替案を把握できる |
トリバゴ会社の基本情報と事業内容
この章では、トリバゴがどのような会社なのか、その基本的な情報から詳しく解説していきます。
- トリバゴ会社は2005年設立のドイツ発ホテル比較サイト運営企業
- トリバゴ会社の事業内容はホテル料金比較サービス
- トリバゴ会社の本社はドイツ・デュッセルドルフ
- トリバゴ会社はエクスペディア・グループの子会社
- トリバゴ会社は2016年にNASDAQ上場を果たした
- トリバゴ会社の名前の由来は「Travel」と「go」の造語
トリバゴ会社は2005年設立のドイツ発ホテル比較サイト運営企業
トリバゴ(Trivago N.V.)は、2005年にドイツで設立された比較的新しい企業です。創業者は、ロルフ・シュレームゲンス、マルテ・ジーヴァート、ペーター・フィネマイヤーの3名で、当初からホテル料金比較サービスに特化したビジネスモデルを採用していました。
設立から約2年後の2007年にホテル料金を比較するサービスを本格的に開始し、当初よりスペイン、フランス、イギリスなど海外展開に注力していたことが特徴的です。これは国内市場だけでなく、グローバル市場を見据えた戦略的な判断だったと考えられます。
🏢 トリバゴ会社の設立背景
項目 | 詳細 |
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設立年 | 2005年 |
創業者 | ロルフ・シュレームゲンス、マルテ・ジーヴァート、ペーター・フィネマイヤー |
サービス開始 | 2007年 |
初期展開地域 | ドイツ、スペイン、フランス、イギリス |
事業領域 | ホテル・宿泊施設のメタ検索 |
2013年にはアジア・太平洋地域でもビジネスを開始し、グローバル企業としての地位を確立していきました。日本語対応のサービス(trivago.jp)も2010年以降から提供されており、日本市場への参入も比較的早い段階で行われていたことがわかります。
設立から約20年が経過した現在では、世界190カ国以上の宿泊施設の料金を比較できるプラットフォームとして成長しています。しかし、この急速な成長の一方で、サービスの質や競合他社との差別化において課題を抱えているのも事実です。
創業時から一貫して「メタサーチ」というビジネスモデルにこだわり続けており、自社で宿泊施設を運営するのではなく、あくまで比較サービスに特化している点が特徴的です。この戦略が功を奏して急成長を遂げた一方で、後述するような限界も見えてきているのが現状です。
トリバゴ会社の事業内容はホテル料金比較サービス
トリバゴの主力事業は、**複数の旅行予約サイトからホテルや宿泊施設の最安値を見つけ出す「メタサーチサービス」**です。これは、ユーザーが検索条件を入力すると、トリバゴの検索ロボットがネット上で提供されている料金情報を自動的に収集・比較し、条件に合った宿泊プランを表示するシステムです。
現在、54の地域別にローカライズされたtrivagoウェブサイトを運営しており、各ウェブサイトでは世界的に広く利用されるホテル予約サイトのほか、各地域内部で影響力を持つホテル予約サイトも検索表示に含まれるように設計されています。
📊 トリバゴのサービス概要
サービス名 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
ホテル料金比較 | 複数サイトの料金を一括比較 | 200社以上と連携 |
trivago Hotel Manager | 宿泊施設運営者向け管理ツール | 無料提供 |
トリバゴコミュニティー | 施設情報の更新・管理 | グローバル展開 |
トリバゴホテル料金指数 | 都市別平均宿泊料金データ | 月次公表 |
ユーザーが希望の目的地を検索バーに入力後、日付を選択することで検索が実行されます。検索結果は料金、目的地からの距離、人気度、ユーザー評価などから絞り込むことができ、部屋タイプやアメニティの有無といった細かな条件での絞り込みも可能です。
重要なポイントとして、トリバゴ自体は予約を受け付けないという点があります。ユーザーが「予約サイトで確認」をクリックすると、その宿泊プランを提供する予約サイトに転送され、そこで予約を完了する仕組みになっています。
このビジネスモデルでは、トリバゴと予約サイトの間でクリック単価制を採用しているため、ユーザーは無料でトリバゴのサービスを利用できる一方で、トリバゴの収益は予約サイトからの紹介手数料に依存しています。この構造が、後述する様々な問題の根源となっている可能性があります。
料金情報については、各予約サイトの一般的な料金が対象であり、各サイトにおける会員限定割引などは対象外となっている点も利用時に注意が必要です。
トリバゴ会社の本社はドイツ・デュッセルドルフ
トリバゴの本社は、ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州デュッセルドルフに位置しています。具体的な住所は「Kesselstraße 5-7, 40221 Düsseldorf, Germany」となっており、ドイツ国内でも有数の経済都市に拠点を構えています。
デュッセルドルフは、ドイツ西部に位置する国際的なビジネス都市として知られており、特に日本企業の欧州進出拠点としても多く利用されています。この立地選択は、トリバゴが当初からグローバル展開を視野に入れていたことを示唆しています。
🏙️ トリバゴ本社の立地情報
項目 | 詳細 |
---|---|
所在地 | ドイツ・デュッセルドルフ |
住所 | Kesselstraße 5-7, 40221 Düsseldorf |
座標 | 北緯51度12分48秒 東経6度44分48秒 |
都市特徴 | 国際的ビジネス都市、日本企業進出拠点 |
アクセス | デュッセルドルフ国際空港から約30分 |
ただし、法人登記上の本店所在地はオランダ商工会議所となっています。これは2016年のNASDAQ上場を機に、持株会社のtrivago N.V.(オランダ商工会議所登記)が設立され、その傘下にtrivago GmbH(ドイツ法人)を置く企業形態に変更されたためです。
この複雑な企業構造は、税務上の最適化や国際的な事業展開の利便性を考慮したものと推測されますが、一般ユーザーにとっては企業の実態を把握しにくくする要因ともなっています。
現在の経営陣は、CEO(最高経営責任者)にAxel Hefer、CFO(最高財務責任者)にMatthias Tillmannが就任しており、ドイツを拠点としながらもグローバルな事業展開を統括しています。
デュッセルドルフという立地は、ヨーロッパ中心部へのアクセスの良さと、国際的なビジネス環境が整っている点で、トリバゴのような国際企業にとって理想的な環境と言えるでしょう。一方で、アジア太平洋地域での事業展開においては、時差や文化的な違いがハンディキャップとなっている可能性も考えられます。
トリバゴ会社はエクスペディア・グループの子会社
2012年12月にオンライン旅行会社のエクスペディア・グループによって買収されて以降、トリバゴは同グループの一員として運営されています。エクスペディア・グループは、世界最大級のオンライン旅行会社の一つで、「Expedia」「Hotels.com」「Orbitz」「Vrbo」などの有名ブランドを傘下に持つ巨大企業です。
買収後も、エクスペディア・グループ以外のホテル予約サイトを比較対象に含めている点は評価できますが、一方でグループ内のシナジー効果を最大化するための戦略的な調整が行われている可能性もあります。
💼 エクスペディア・グループの概要
項目 | 詳細 |
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親会社 | エクスペディア・グループ |
買収時期 | 2012年12月 |
株式保有比率 | 約59.6%(2019年時点) |
主要ブランド | Expedia、Hotels.com、Orbitz、Vrbo |
事業領域 | オンライン旅行予約サービス |
興味深いことに、グローバルな宿泊予約サイトの力関係により、最大のクライアントがブッキング・ホールディングスというジレンマを抱えています。ブッキング・ホールディングスは、エクスペディア・グループの最大の競合企業の一つであり、この状況は複雑なビジネス関係を生み出しています。
2019年12月には、ブッキング・ホールディングスが実施した広告削減措置がトリバゴの収益に打撃を与える中、経営陣の刷新が行われました。これは、親会社であるエクスペディア・グループの戦略と、実際のビジネス環境との間にギャップが生じていることを示唆しています。
エクスペディア・グループの傘下に入ったことで、トリバゴは豊富な資金力とグローバルネットワークを活用できるようになった反面、グループ全体の戦略に左右される立場となりました。これが、独立性を保ちながら最適なサービスを提供する上でのジレンマを生み出している可能性があります。
また、2016年7月にエクスペディア・グループがトリバゴの株式公開を容認し、同年12月にNASDAQ上場を果たしたことで、部分的な独立性を確保する形となっています。しかし、依然としてエクスペディア・グループが約6割の株式を保有しており、実質的な支配下にあることは変わりません。
トリバゴ会社は2016年にNASDAQ上場を果たした
トリバゴは2016年12月16日にNASDAQ(ナスダック)市場に上場を果たし、ティッカーシンボル「TRVG」で取引されています。上場時の発行価格は11.00ドルでしたが、実際の初値は11.20ドルで始まり、予想範囲を下回るスタートとなりました。
上場時点での企業価値評価や今後の成長性について、市場関係者の間でも評価が分かれていたことが、この価格動向からも読み取れます。
📈 トリバゴのNASDAQ上場情報
項目 | 詳細 |
---|---|
上場日 | 2016年12月16日 |
取引所 | NASDAQ |
ティッカーシンボル | TRVG |
発行価格 | $11.00 |
初値 | $11.20 |
株式の種類 | ADR(米国預託証券) |
上場時の資本金は約895百万ユーロ(2019年時点)、売上高は約839百万ユーロとなっており、一定規模の企業として市場にデビューしました。しかし、営業利益は38百万ユーロ、純利益は17百万ユーロと、売上高に対する利益率はそれほど高くない状況でした。
**ADR(American Depositary Receipt:米国預託証券)**として上場している点も重要なポイントです。ADRは、外国企業が米国市場で資金調達を行う際に利用される仕組みで、トリバゴの場合、ADS比率は1.0:5.0となっています。
上場後の株価推移を見ると、2025年現在の株価は約4.90ドルとなっており、上場時の価格を大きく下回る水準で推移しています。52週高値は5.83ドル、52週安値は1.60ドルと、かなりのボラティリティ(価格変動)を示しています。
市場関係者からは、コロナ禍による旅行業界全体の低迷に加えて、競合他社との差別化が不十分であることや、ビジネスモデルの限界が指摘されています。特に、他社が業績回復を果たしている中で、トリバゴだけが回復に遅れを見せている点は、投資家にとって懸念材料となっているようです。
NASDAQ上場企業としての地位は維持しているものの、時価総額は約345億円(2025年時点)と、同業他社と比較して小規模な位置づけとなっています。
トリバゴ会社の名前の由来は「Travel」と「go」の造語
トリバゴという社名の由来については、「Travel(旅行)」と「go(行く)」を組み合わせた造語であるというのが一般的な解釈です。この命名は、同社のコアビジネスである旅行関連サービスを直感的に表現したものと考えられます。
ただし、公式に詳細な由来について発表されているわけではないため、推測の域を出ませんが、シンプルで覚えやすく、かつ国際的に通用するブランド名として機能している点は評価できるでしょう。
🏷️ トリバゴの命名に関する分析
要素 | 詳細 |
---|---|
語源 | Travel + go(推測) |
言語特性 | 英語ベースで国際的に通用 |
覚えやすさ | シンプルで記憶に残りやすい |
ブランド戦略 | 機能性を直感的に表現 |
商標性 | 独自性があり商標として有効 |
興味深いことに、日本ではナタリー・エモンズ主演のテレビCMで一躍有名になりましたが、このキャスティングと「トリバゴ」という名前の響きが日本市場に適していたことも、ブランド認知度向上に寄与したと考えられます。
2024年からは立石晴香、2025年3月からは宮永アズサが出演するテレビCMが放送されており、継続的なブランド認知度向上に努めています。これらのCM戦略は、最高経営責任者が推進する会社の方針となっており、Googleなどのウェブ広告に過度に依存するのは経営上リスキーであり、テレビはウェブより認知度向上に効果的とする考え方に基づいています。
実際に、2017年には収益の87%をテレビ広告を中心とする広告費に投入するなど、旅行サイトのテレビ広告費としては突出した額となっています。この積極的な広告展開により、「トリバゴ」という名前は多くの人に認知される結果となりましたが、一方でサービスの質や競合優位性についての課題も浮き彫りになっています。
ドイツ発の企業でありながら、英語ベースの社名を採用したことからも、当初からグローバル市場を意識していたことがうかがえます。この戦略的な命名が、現在の国際的な事業展開の基盤となっていることは間違いないでしょう。
トリバゴ会社のサービス評価と業界での立ち位置
この章では、トリバゴのサービス品質や競合他社との比較、そして利用時の注意点について詳しく解説していきます。
- トリバゴ会社のサービスは他社比較で下位に位置する
- トリバゴ会社が危ないと言われる理由は業績回復の遅れ
- トリバゴ会社のデメリットは最安値を見つけにくいこと
- トリバゴ会社の安い理由は手数料収入モデルだから
- トリバゴ会社は意味ないと言われる原因は機能の限定性
- トリバゴ会社の予約確認システムは他サイト経由となる
- まとめ:トリバゴ会社の特徴と利用時の注意点
トリバゴ会社のサービスは他社比較で下位に位置する
2017年に実施された主要旅行比較サイトの比較調査において、トリバゴは国内・海外ともに最安値をほとんど見つけられず、下位に位置する結果となりました。この調査では、実際の宿泊施設での料金検索を行い、各サイトの検索精度や価格競争力を比較しています。
調査結果によると、国内ホテルでは「トラベルコ」や「Yahoo!トラベル」が上位を占め、海外ホテルでは「スカイスキャナー」や「KAYAK」が優秀な結果を示しました。一方で、トリバゴは特筆すべき機能がないと評価され、シンプルな操作性が売りとされているものの、核心的な価格競争力で劣る結果となっています。
📊 旅行比較サイト評価結果
サイト名 | 国内ホテル | 海外ホテル | エアライン | 特徴 |
---|---|---|---|---|
トラベルコ | ★★★ | ★★★ | ★★★ | 最安値発見力が高い |
Yahoo!トラベル | ★★★ | ★ | ★ | Tポイント還元あり |
スカイスキャナー | ★ | ★★★ | ★★★ | 航空券に強み |
KAYAK | ★★ | ★★ | ★★ | 価格予測機能あり |
トリバゴ | ★ | ★ | – | 目立った特徴なし |
特に問題となるのは、連係サイト数は200社以上と多いにも関わらず、最安値を提示できていない点です。これは、連携の質よりも量を重視した結果、実際の価格競争力が損なわれている可能性を示唆しています。
国内ホテル検索においては、JTBや近畿日本ツーリストなど老舗旅行会社との連係が重要とされていますが、トリバゴはこの分野で弱みを見せています。大手旅行会社は自社ツアー用に部屋を確保しており、オンライン旅行会社とは異なる独自の値付けプランを出すことが多く、これが思わぬ安値となることがあるためです。
海外ホテル検索についても、世界最大級の予約サイトであるブッキング・ドットコムや中国最大手のCtripとの連携はあるものの、検索結果の精度や価格競争力において他社に劣る状況が続いています。
この評価結果は、トリバゴの大量テレビCM投資とサービス品質のギャップを明確に示しており、ブランド認知度と実際の利用価値との間に乖離があることを物語っています。
トリバゴ会社が危ないと言われる理由は業績回復の遅れ
トリバゴが「危ない」と指摘される最大の理由は、コロナ禍からの業績回復が同業他社と比較して著しく遅れていることです。2023年の分析によると、エクスペディア、Booking.com、Trip.comなどの大手旅行系企業が概ねコロナ前の売上水準に回復している中、トリバゴだけが回復に遅れを見せています。
2019年7-9月以降、トリバゴの売上は大きく減少し、2023年4-6月の四半期売上は136百万ドル(約136億円)となっています。多少の季節性はあるものの、2021年4-6月からほぼ横ばいで推移しており、コロナ前の水準には程遠い状況です。
⚠️ 業績回復状況の比較(2019年7-9月を100とした指数)
企業名 | 2023年4-6月指数 | 回復状況 |
---|---|---|
Booking.com | 約110 | 完全回復 |
エクスペディア | 約105 | 完全回復 |
Trip.com | 約120 | 大幅回復 |
トリバゴ | 約70 | 大幅な遅れ |
この業績低迷の背景には、いくつかの構造的な問題があると考えられます。まず、メタサーチというビジネスモデルの限界が挙げられます。自社で予約を受け付けず、他社サイトへの送客に依存する構造は、手数料収入の変動に大きく左右されやすい特徴があります。
また、最大のクライアントであるブッキング・ホールディングスが2019年に実施した広告削減措置の影響が長期化していることも要因の一つです。この状況により、2019年12月には経営陣の刷新が行われましたが、根本的な解決には至っていません。
さらに、競合他社との差別化不足も深刻な問題となっています。他社が独自機能やサービス改善を進める中、トリバゴは目立った革新を提供できておらず、市場シェアの維持に苦戦している状況です。
株価推移を見ても、この業績不振は如実に反映されており、上場時の11ドルから現在の約5ドルまで大幅に下落しています。投資家からの信頼回復も急務となっており、抜本的な事業戦略の見直しが求められている状況と言えるでしょう。
トリバゴ会社のデメリットは最安値を見つけにくいこと
トリバゴの最大のデメリットは、本来の目的である「最安値発見」において競合他社に劣るということです。複数の比較調査において、トリバゴは国内・海外ともに最安値をほとんど見つけられないという結果が示されています。
この問題の根本には、連携サイトの質と量のバランスが取れていないことがあります。200社以上と連携していると謳っていますが、実際に有効な価格情報を提供できるサイトの割合が低い可能性があります。
❌ トリバゴの主要デメリット
デメリット | 詳細説明 | 影響度 |
---|---|---|
最安値発見力の低さ | 他社比較で劣位 | 高 |
機能の限定性 | 特筆すべき独自機能なし | 中 |
予約の複雑さ | 他サイト経由での予約必須 | 中 |
会員限定価格の非表示 | 割引情報の取得不可 | 高 |
地方都市の弱さ | 国内地方での空室発見困難 | 中 |
特に国内ホテル検索において、訪日観光客がまだ押し寄せていない地方都市では手薄な状況が顕著です。例えば「ダイワロイネットホテル盛岡」の調査では、最安値は名鉄観光、次点はJTB系列のるるぶトラベルでしたが、トリバゴでは空室すら見つからないケースが散見されました。
また、料金情報が各予約サイトの一般的な料金のみを対象としており、各サイトの会員限定割引は対象外となっている点も大きなデメリットです。多くのユーザーが実際に利用する会員価格での比較ができないため、実用性に欠ける結果となってしまいます。
海外ホテル検索についても、ブッキング・ドットコムやCtripなどの大手サイトとは連携しているものの、検索アルゴリズムや表示優先度の調整が適切でない可能性があります。その結果、真の最安値よりも手数料の高いプランが上位表示される傾向があると推測されます。
さらに、シンプルな操作性を売りにしている一方で、詳細な絞り込み機能が不足している点も指摘されています。他社では74項目もの絞り込み検索が可能な場合もあり、ユーザビリティの面でも改善の余地があります。
これらのデメリットは、トリバゴが広告費に多額の投資を行っているにも関わらず、肝心のサービス品質向上への投資が不十分であることを示唆しています。
トリバゴ会社の安い理由は手数料収入モデルだから
トリバゴのサービスがユーザーにとって無料で利用できる理由は、クリック単価制(CPC:Cost Per Click)による手数料収入モデルを採用しているためです。これは、ユーザーがトリバゴ経由で予約サイトにアクセスするたびに、該当する予約サイトからトリバゴに手数料が支払われる仕組みです。
このビジネスモデルの特徴は、ユーザーが実際に予約を完了しなくても、単純にリンクをクリックするだけで収益が発生する点にあります。そのため、必ずしも最安値を提供する必要がなく、手数料の高いサイトを優先的に表示するインセンティブが働く可能性があります。
💰 トリバゴの収益構造
収益源 | 仕組み | 特徴 |
---|---|---|
クリック単価 | リンククリックごとに課金 | 主要収益源 |
表示手数料 | 検索結果表示での課金 | 補助的収益 |
プレミアム掲載 | 上位表示での追加課金 | 高収益率 |
データ販売 | 検索データの分析提供 | 新規収益源 |
このモデルは一見すると理にかなっているように見えますが、実際にはユーザーの利益と企業の利益が必ずしも一致しないという構造的な問題を抱えています。最安値を提供することよりも、高い手数料を支払うサイトへの誘導が優先される可能性があるためです。
また、予約サイトからの手数料収入に過度に依存している構造は、経営の安定性にも影響を与えています。実際に、最大のクライアントであるブッキング・ホールディングスが広告削減を実施した際には、トリバゴの収益に大きな打撃を与える結果となりました。
競合他社との手数料競争も激化しており、より多くの送客を獲得するために手数料率を下げる圧力が強まっています。これにより、収益性の悪化が進んでいる可能性もあります。
さらに、このビジネスモデルでは、長期的な顧客関係の構築よりも短期的な送客数の最大化が重視される傾向があります。その結果、サービス品質の向上への投資が後回しになりがちで、これが前述の評価の低さにつながっている可能性があります。
ユーザーにとっては無料で利用できるメリットがある一方で、真の意味での「最安値発見ツール」としての機能が制限されている点は、利用時に十分注意する必要があります。
トリバゴ会社は意味ないと言われる原因は機能の限定性
「トリバゴは意味ない」という評価が生まれる主な原因は、サービスの機能が限定的で、他の比較サイトと比べて明確な優位性がないことにあります。ホテル料金比較に特化しているにも関わらず、その核心機能において競合他社に劣る結果が続いています。
具体的な機能の限定性として、以下の点が挙げられます。まず、エアライン(航空券)の検索ができない点です。多くの競合サイトでは、ホテルと航空券の同時比較やダイナミックパッケージの検索が可能ですが、トリバゴはホテルのみに特化しています。
🔍 機能比較:トリバゴ vs 競合他社
機能 | トリバゴ | トラベルコ | スカイスキャナー | KAYAK |
---|---|---|---|---|
ホテル検索 | ○ | ○ | ○ | ○ |
航空券検索 | × | ○ | ○ | ○ |
レンタカー | × | ○ | ○ | ○ |
パッケージツアー | × | ○ | ○ | ○ |
価格予測 | × | × | ○ | ○ |
詳細絞り込み | △ | ○ | ○ | ○ |
また、価格変動の予測機能や購入タイミングのアドバイスといった付加価値機能も提供されていません。KAYAKでは航空券の価格動向が予測され、「今が買い時か」「もう少し待った方がよいか」といった情報が提供されますが、トリバゴにはそのような機能がありません。
検索結果の表示についても、単純な価格順の並び替え以外に特筆すべき機能がないのが現状です。スカイスキャナーのように目的地を指定せずに予算ベースで検索したり、TravelCoのように74項目もの詳細絞り込みが可能だったりする他社と比較すると、機能面での見劣りは否めません。
さらに問題なのは、独自のデータ分析や洞察の提供が不十分である点です。「トリバゴホテル料金指数」という月次データは公表していますが、これも単純な平均価格の発表に留まっており、ユーザーの意思決定に資する深い分析は提供されていません。
このような機能の限定性は、トリバゴがマーケティング(特にテレビCM)に過度に依存し、プロダクト開発への投資が不十分であることを示唆しています。2017年には収益の87%を広告費に投入するなど、バランスを欠いた経営判断が続いている可能性があります。
結果として、ブランド認知度は高いものの、実際に使ってみると「期待していたほどの価値がない」と感じるユーザーが多く、「意味ない」という評価につながっていると考えられます。
トリバゴ会社の予約確認システムは他サイト経由となる
トリバゴの重要な制約として、自社では予約を受け付けず、必ず他の予約サイト経由での予約となる点があります。これは、メタサーチという事業モデルの性質上避けられない特徴ですが、ユーザビリティの面では大きなデメリットとなります。
具体的な予約プロセスは以下のようになります:ユーザーがトリバゴで希望の宿泊施設を見つけて「予約サイトで確認」をクリックすると、該当する宿泊プランを提供する予約サイト(BookingやExpediaなど)に転送され、そこで改めて予約手続きを行う必要があります。
📝 予約プロセスの複雑さ
ステップ | 作業内容 | 発生する問題 |
---|---|---|
1. トリバゴで検索 | 条件入力・結果確認 | – |
2. 価格確認 | 料金・条件の比較 | 情報の不整合 |
3. 外部サイト移動 | 予約サイトへのリダイレクト | ページ読み込み時間 |
4. 再検索・確認 | 移動先での条件再入力 | 価格・在庫の相違 |
5. 予約完了 | 実際の予約手続き | 追加料金の発生 |
この仕組みには、いくつかの深刻な問題があります。まず、トリバゴで表示された価格と、実際の予約サイトでの価格が異なる場合があることです。これは、情報更新のタイムラグや、トリバゴが取得している価格情報の精度に問題があることを示唆しています。
また、予約サイトに移動した時点で、該当の部屋が売り切れている場合もあります。トリバゴの検索結果はリアルタイムではなく、ある程度のキャッシュデータに基づいている可能性があるためです。
予約確認や変更・キャンセルについても、すべて個別の予約サイトで行う必要があります。複数のサイトで予約した場合、それぞれ異なる予約管理システムを使用することになり、旅行管理が煩雑になります。
さらに問題なのは、トラブル発生時の責任の所在が曖昧になることです。予約の不備や宿泊施設でのトラブルが発生した場合、トリバゴ、予約サイト、宿泊施設のどこに問い合わせればよいのか分からなくなる可能性があります。
これらの制約は、他の統合型予約サイト(エクスペディアやBooking.comなど)と比較して、ユーザーエクスペリエンスを大きく損なう要因となっています。特に、海外旅行などで複数の予約を管理する必要がある場合、この複雑さは大きなストレスとなるでしょう。
まとめ:トリバゴ会社の特徴と利用時の注意点
最後に記事のポイントをまとめます。
- トリバゴは2005年設立のドイツ発ホテル比較サイト運営企業である
- エクスペディア・グループの子会社として2012年に買収された
- 2016年にNASDAQ上場を果たしたが株価は低迷している
- 本社はドイツ・デュッセルドルフに位置している
- サービス内容はホテル料金比較に特化したメタサーチである
- 200社以上のサイトと連携しているが最安値発見力は低い
- クリック単価制の手数料収入モデルでユーザーは無料利用可能である
- 他社比較調査では国内・海外ともに下位評価となっている
- コロナ禍からの業績回復が同業他社より大幅に遅れている
- 航空券検索や価格予測などの付加価値機能が不足している
- 予約は必ず他サイト経由となりユーザビリティに課題がある
- 地方都市のホテル検索では空室すら見つからない場合がある
- 会員限定価格は検索対象外となっている
- テレビCMに収益の大部分を投入する広告重視の経営戦略である
- 最大クライアントが競合企業という複雑な事業構造を抱えている
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%90%E3%82%B4
- https://www.trivago.jp/
- https://trivago.jp/ja/sl/%E6%B3%95%E7%9A%84%E4%BA%8B%E9%A0%85
- https://www.moomoo.com/ja/stock/TRVG-US/company
- https://finance.yahoo.co.jp/quote/TRVG/profile
- https://ir.trivago.com/
- https://style.nikkei.com/article/DGXMZO22920670R31C17A0000000/
- https://irnote.com/n/na592fb8877ef
- https://www.nikkei.com/nkd/company/us/TRVG/
- https://support.trivago.com/hc/ja/articles/360016107353-%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%90%E3%82%B4%E3%81%AE%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%83%85%E5%A0%B1