シンガポールの象徴的なランドマークとして世界中から注目を集めるマリーナベイサンズ。その独特な外観から「建物が傾いているのでは?」という疑問や「倒壊の危険性はないのか?」といった不安の声が聞かれることがあります。実際のところ、マリーナベイサンズは本当に傾いているのでしょうか。
この記事では、マリーナベイサンズの傾きに関する真実を詳しく解説します。設計段階から意図された傾斜の理由、建築に携わった設計者や施工会社の背景、そして最も気になる安全性について、豊富な情報をもとに包括的にお伝えします。倒壊の噂の真相や、世界の傾斜建築物との比較、さらには実際に宿泊した際の体験談まで、マリーナベイサンズの傾きに関するあらゆる疑問にお答えします。
この記事のポイント |
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✅ マリーナベイサンズが本当に傾いているかの真実 |
✅ 最大52度という驚異的な傾斜角度の詳細 |
✅ 風水を取り入れた設計の意図と背景 |
✅ 安全性に関する専門家の見解と技術的根拠 |
マリーナベイサンズの傾きに関する基本情報
- マリーナベイサンズの傾きは本当で最大52度もある
- 傾きの理由は風水を取り入れた意図的なデザイン
- 設計者はモシェ・サフディ氏で建築哲学が反映されている
- 施工は韓国の双竜建設が担当し2年3ヶ月で完成
- 日本やフランスの大手建設会社は安全性を理由に入札辞退
- ピサの斜塔の約10倍という驚異的な傾斜角度
マリーナベイサンズの傾きは本当で最大52度もある
マリーナベイサンズの傾きについて結論から申し上げると、建物は確実に傾いており、その傾斜角度は最大52度に達します。これは設計ミスや建設後の地盤沈下によるものではなく、建築段階から意図的に設計された特徴的なデザインです。
正面から見て一番右側のタワーが最も大きく傾いており、この52度という角度は世界の建築史上でも類を見ない大胆な設計となっています。遠くから建物を眺めると、3つのタワーが「入」の字のような形状になっているのがはっきりと確認できます。
🏗️ マリーナベイサンズの傾斜データ
項目 | 詳細 |
---|---|
最大傾斜角度 | 52度 |
傾斜タワー | 正面から見て右側のタワー |
建物高さ | 200m |
階数 | 57階建て |
完成年 | 2010年 |
この傾きは肉眼でもはっきりと確認でき、初めて見る観光客は必ずと言っていいほど驚きます。近年SNSなどで「マリーナベイサンズが傾いている」という投稿が話題になることがありますが、これは最近になって傾き始めたのではなく、開業当初からの設計による特徴なのです。
建物内部では、客室や廊下などの床面は水平に保たれているため、宿泊客が傾きを体感することはほとんどありません。ただし、窓から外を見ると景色が傾いて見えるという独特な体験ができるのも、この建物ならではの魅力といえるでしょう。
マリーナベイサンズの傾きは、単なる建築的な遊び心ではなく、深い文化的意味と高度な建築技術の結晶として生まれたものです。この大胆な設計により、シンガポールのスカイラインに唯一無二の存在感を与えています。
傾きの理由は風水を取り入れた意図的なデザイン
マリーナベイサンズが傾いている理由は、風水の考え方を建築デザインに取り入れたためです。建物を横から見ると漢字の「入」の形に見えるよう設計されており、これは風水において良い運気を呼び込むとされている形状です。
設計者であるモシェ・サフディ氏は、シンガポールという多文化都市の特性を理解し、アジアの伝統的な風水思想を現代建築に融合させました。「入」の字は、エネルギーが建物に流れ込む様子を表現しており、ビジネスや観光における繁栄を象徴しています。
🌟 風水における「入」の字の意味
要素 | 風水的意味 |
---|---|
形状 | エネルギーの流入 |
方向性 | 運気の向上 |
バランス | 陰陽の調和 |
象徴性 | 繁栄と成功 |
この傾斜デザインは、単に視覚的なインパクトを与えるだけでなく、建物全体に良い気の流れを作り出すという思想に基づいています。実際に、マリーナベイサンズは開業以来、シンガポールの観光産業において中核的な役割を果たし、多くの観光客を引きつけ続けています。
風水の専門家によると、建物の傾きによって作られる空間は、エネルギーの循環を促進し、その場所に関わる人々に積極的な影響を与えるとされています。この考え方は、現代の建築において珍しい取り組みであり、東西の文化を融合させた画期的な事例として評価されています。
また、傾斜した形状は建物の重心を分散させ、構造的な安定性にも寄与している可能性があります。風水的な意味と建築工学的な合理性が両立した、非常に練られた設計といえるでしょう。
設計者はモシェ・サフディ氏で建築哲学が反映されている
マリーナベイサンズを設計したのは、イスラエル系カナダ人建築家のモシェ・サフディ氏です。彼の建築哲学である「親密さと壮大さの融合」がこの建物に色濃く反映されており、大規模でありながら人間的な温かみを感じさせる空間を創り出しています。
サフディ氏は1967年のモントリオール万国博覧会で発表した「ハビタット67」で一躍有名になった建築家で、プレハブ式ユニットを積み重ねた斬新なデザインで建築界に衝撃を与えました。その後も世界各地で独創的な建築作品を手がけ、特に曲線を活用した有機的なデザインを得意としています。
🏛️ モシェ・サフディ氏の代表作品
作品名 | 所在地 | 完成年 | 特徴 |
---|---|---|---|
ハビタット67 | モントリオール | 1967年 | プレハブ集合住宅 |
国立美術館東館 | ワシントンD.C. | 1978年 | 幾何学的デザイン |
ユダヤ系遺産博物館 | サンフランシスコ | 2008年 | 螺旋状の構造 |
マリーナベイサンズ | シンガポール | 2010年 | 傾斜と船型屋上 |
サフディ氏の設計哲学は、建築物が単なる機能的な箱ではなく、人々の生活や体験を豊かにする空間であるべきだという考えに基づいています。マリーナベイサンズにおいても、この哲学が随所に表現されており、ホテル、カジノ、ショッピングモール、会議場などの多様な機能を一つの建物に統合しながら、それぞれが調和して機能するよう設計されています。
建物の傾斜デザインも、単なる視覚的効果を狙ったものではなく、内部空間の豊かさと外部環境との関係性を重視した結果です。特に屋上のインフィニティプールからの眺望は、傾斜した建物だからこそ実現できる独特な視点を提供しています。
サフディ氏は環境との調和も重視しており、マリーナベイサンズでは雨水利用システムやエネルギー効率の高い設備の導入など、持続可能性にも配慮した設計が施されています。これらの要素が組み合わさることで、世界的に注目される建築作品が誕生したのです。
施工は韓国の双竜建設が担当し2年3ヶ月で完成
マリーナベイサンズの建設を実際に担当したのは、韓国の双竜(サンヨン)建設です。この困難とされる工事を、当初予定されていた4年の工期を大幅に短縮し、わずか2年3ヶ月(27ヶ月)で完成させました。この短縮により、双竜建設は約7億円のインセンティブを受け取ったとされています。
双竜建設は1977年に設立された韓国の大手建設会社で、国内外で数多くの大型プロジェクトを手がけてきました。マリーナベイサンズのような複雑な設計の建物を短期間で完成させたことは、同社の技術力の高さを示す事例として注目されました。
⚡ マリーナベイサンズ建設の経緯
段階 | 期間 | 詳細 |
---|---|---|
設計・計画 | 2005-2006年 | モシェ・サフディ氏による設計 |
入札・受注 | 2006年 | 双竜建設が受注決定 |
建設期間 | 2007-2010年 | 27ヶ月の短期工事 |
開業 | 2010年6月 | 段階的オープン開始 |
双竜建設の会長(当時)は完成時に「既存の工法を利用するのではなく、双竜建設の独創的なアイデアで難しい工事を終わらせた」とコメントしており、独自の施工技術により工期短縮を実現したと説明していました。
しかし、この急ピッチでの建設については、後に品質や安全性に関する懸念の声も上がることになります。特に、マリーナベイサンズ完成から約5年後の2015年に双竜建設が会社更生手続きを申請し、さらに2017年には上場廃止となったことで、同社の経営状況や施工品質に対する疑問が投げかけられました。
ただし、マリーナベイサンズ自体は開業から10年以上が経過した現在も安定して運営されており、定期的な点検やメンテナンスによって安全性が維持されています。建設技術の進歩により、短期間での施工が必ずしも品質低下を意味するわけではないことも事実です。
日本やフランスの大手建設会社は安全性を理由に入札辞退
マリーナベイサンズの建設プロジェクトには、当初、日本の清水建設やフランスのVINCIなど、世界を代表する大手建設会社も関心を示していました。しかし、モシェ・サフディ氏の設計図を詳細に検討した結果、これらの企業は**「安全性を保証できない」として入札を辞退**しました。
清水建設は日本を代表するスーパーゼネコンの一つで、東京スカイツリーや数多くの超高層ビルの建設実績を持つ技術力の高い企業です。また、VINCIはフランスの世界的な建設・インフラ企業で、ヨーロッパを中心に大規模プロジェクトを手がけています。
🏢 入札を検討した主要建設会社
企業名 | 国籍 | 代表的実績 | 辞退理由 |
---|---|---|---|
清水建設 | 日本 | 東京スカイツリー、六本木ヒルズ | 安全性保証困難 |
VINCI | フランス | ミヨー橋、各種インフラ | 技術的リスク |
その他欧州企業 | 欧州各国 | 大型建設プロジェクト | 設計の複雑性 |
これらの企業が入札を辞退した主な理由は、マリーナベイサンズの設計があまりにも前例のない複雑さを持っていたためです。特に以下の要素が技術的な課題として挙げられました:
- 52度という極端な傾斜角度:通常の建築物では考えられない傾きによる構造的負荷
- 屋上の船型構造物:3つのタワーを結ぶ巨大な構造物の安全性
- 地盤との関係性:シンガポールの地盤条件での安定性確保
- 風圧や気候条件:熱帯気候下での長期耐久性
世界有数の技術を持つこれらの企業が慎重な判断を下したことは、マリーナベイサンズの建設がいかに困難なプロジェクトであったかを物語っています。一般的に、建設業界では安全性に少しでも疑問がある場合、企業の信用問題に関わるため、無理な受注は避ける傾向があります。
結果的に双竜建設が受注することになりましたが、これは同社がリスクを承知の上で挑戦的な姿勢を示したか、あるいは独自の技術的解決策を持っていたかのいずれかと推測されます。
ピサの斜塔の約10倍という驚異的な傾斜角度
マリーナベイサンズの傾斜角度を他の有名な傾斜建築物と比較すると、その驚異的な数値が浮き彫りになります。世界で最も有名な傾斜建築物であるピサの斜塔の傾斜角度が約5.5度であるのに対し、マリーナベイサンズは最大52度と、なんと約10倍の傾きを持っています。
ピサの斜塔は建設途中での地盤沈下により意図せず傾いてしまった建築物ですが、マリーナベイサンズは設計段階から意図的にこの角度が設定されており、建築技術の進歩を象徴する事例といえます。
📏 世界の主要傾斜建築物比較表
建築物名 | 所在地 | 傾斜角度 | 建設時期 | 傾斜の原因 |
---|---|---|---|---|
ピサの斜塔 | イタリア | 5.5度 | 12-14世紀 | 地盤沈下 |
プエルタ・デ・エウローパ | スペイン | 15度 | 1996年 | 意図的設計 |
キャピタルゲートビル | UAE | 18度 | 2011年 | 意図的設計 |
オリンピックスタジアム塔 | カナダ | 45度 | 1976年 | 意図的設計 |
マリーナベイサンズ | シンガポール | 52度 | 2010年 | 意図的設計 |
マリーナベイサンズの52度という角度は、建築物としては極限に近い傾斜といえます。この角度を実現するために、設計段階では複雑な構造計算と、風圧や地震に対する詳細なシミュレーションが行われました。
特に注目すべきは、これだけの傾斜を持ちながら200mの高さを実現していることです。通常、建築物の傾斜角度が大きくなるほど、高さには制限が生じるものですが、マリーナベイサンズでは最新の建築技術により、両方を同時に実現しています。
この傾斜角度により、建物内部から見える景色も独特な角度となり、宿泊客にとっては他では体験できない視覚的な驚きを提供しています。また、建物のシルエットも従来の建築物とは一線を画する印象的なものとなり、シンガポールの新たなシンボルとしての地位を確立しました。
マリーナベイサンズの傾きと安全性について
- 倒壊の噂があるが専門家は安全性に問題ないとしている
- 500本以上の杭と最新技術で安全性を確保
- 現在も問題なく営業中で拡張計画も進行
- ビー玉実験では室内は水平で傾きを感じない
- 世界の傾斜建築物と比較すると突出している
- 海外での反応は驚きと不安が混在
- まとめ:マリーナベイサンズの傾きは設計の特徴で安全性に問題なし
倒壊の噂があるが専門家は安全性に問題ないとしている
マリーナベイサンズについては、インターネット上で**「倒壊の危険性がある」という噂が時折話題になりますが、建築の専門家や構造エンジニアは一貫して「安全性に問題はない」という見解**を示しています。これらの噂が生まれる背景には、建物の特異な外観と施工会社に関する情報が影響していると考えられます。
倒壊の噂が広まる主な理由として以下の要因が挙げられます:
🔍 倒壊の噂が生まれる背景
要因 | 詳細 | 実際の状況 |
---|---|---|
視覚的印象 | 52度の傾きが不安定に見える | 設計段階から計算された安全な傾斜 |
施工会社の後の経営状況 | 双竜建設の倒産 | 建物自体の品質とは別問題 |
工期の短さ | 2年3ヶ月の急ピッチ建設 | 効率的な工法による合理的期間 |
一般認識 | 傾いた建物=危険という先入観 | 現代建築技術では一般的な設計手法 |
専門家による安全性評価では、マリーナベイサンズは以下の点で高い安全基準を満たしているとされています:
まず、構造設計において世界最高水準の計算技術が用いられており、地震や強風などの自然災害に対する耐性が十分に確保されています。シンガポールは地震がほとんど発生しない地域であることも、建物の安全性を支える要因の一つです。
次に、建設後も定期的な構造点検と必要に応じた補修工事が実施されており、建物の健全性が継続的に監視されています。これまでに構造的な問題や危険な兆候は一切報告されていません。
さらに、シンガポール政府による建築基準の審査も厳格であり、マリーナベイサンズは現地の法令に完全に適合した状態で運営されています。政府としても重要な観光資源として位置づけており、安全管理には特に注意を払っています。
500本以上の杭と最新技術で安全性を確保
マリーナベイサンズの安全性は、500本以上の強固な杭を地中深くに打ち込んだ基礎構造によって支えられています。この基礎設計は、建物の巨大な重量と特殊な傾斜構造を安全に支えるために、最新の地盤工学技術を駆使して設計されました。
建物の安全性を確保するために採用された主要技術は以下の通りです:
🏗️ マリーナベイサンズの安全技術一覧
技術分野 | 具体的内容 | 効果 |
---|---|---|
基礎構造 | 500本以上の深基礎杭 | 地盤沈下防止、荷重分散 |
耐風設計 | 風洞実験による最適化 | 強風時の安定性確保 |
免震技術 | 免震・制震構造の採用 | 振動の軽減と安定性向上 |
監視システム | センサーによる常時監視 | 異常の早期発見と対応 |
基礎杭は地中30メートル以上の深さまで打ち込まれており、岩盤層に到達するまで確実に施工されています。これにより、建物の重量(推定約40万トン)を安全に地盤に伝達し、沈下や傾きの進行を防いでいます。
風圧対策についても徹底的な検証が行われており、複数の風洞実験により、シンガポール特有の気候条件下での安全性が確認されています。特に屋上の船型構造部分は風の影響を受けやすいため、4つの可動ジョイントを設置することで風圧を適切に分散する仕組みが導入されています。
さらに、建物全体には最新のセンサー技術が組み込まれており、微細な振動や構造の変化を24時間体制で監視しています。これにより、万が一の異常も即座に検知し、適切な対応を取ることが可能です。
環境への配慮も安全性の一環として重視されており、雨水利用システムや省エネルギー設備の導入により、建物への負荷を軽減する工夫も施されています。これらの技術的対策により、マリーナベイサンズは長期間にわたって安全に運営できる設計となっています。
現在も問題なく営業中で拡張計画も進行
マリーナベイサンズは開業から15年近くが経過した現在も、何ら問題なく営業を続けており、年間数百万人の宿泊客と観光客を受け入れています。これは建物の安全性と設計の優秀さを実証する最も説得力のある証拠といえるでしょう。
さらに注目すべきは、2025年7月から大規模な拡張工事が開始予定であることです。この拡張計画は総投資額が約3,600億円に上る大型プロジェクトで、2029年7月の完成を目指しています。
🚧 マリーナベイサンズ拡張計画の詳細
拡張内容 | 規模 | 完成予定 | 投資額 |
---|---|---|---|
新ホテルタワー | 578室 | 2029年7月 | 約3,600億円 |
大型アリーナ | 15,000人収容 | 2029年7月 | (上記に含む) |
エンターテインメント施設 | 複数の新施設 | 2029年7月 | (上記に含む) |
インフラ強化 | 各種設備更新 | 段階的実施 | (上記に含む) |
この拡張計画は、シンガポール政府とラスベガス・サンズ社(運営会社)が2019年に正式合意したもので、マリーナベイサンズの長期的な安全性と将来性に対する両者の確信を示すものです。
現在の営業状況を見ると、以下の点で順調な運営が続いています:
客室稼働率は年間を通じて80%以上を維持しており、世界各国からの観光客に愛され続けています。特に屋上のインフィニティプールは、変わらず世界中の旅行者の憧れの対象となっています。
カジノ部門も安定した収益を上げており、2022年にはシンガポール政府からカジノ免許の2030年までの延長が認められました。これは政府がマリーナベイサンズの安全性と社会的価値を認めている証拠です。
建物のメンテナンスも計画的に実施されており、外壁の清掃、設備の更新、安全点検などが定期的に行われています。これまでに大きなトラブルや事故は一切報告されておらず、国際的な安全基準を満たし続けています。
ビー玉実験では室内は水平で傾きを感じない
インターネット上で話題になることがある「ビー玉実験」について解説します。これは宿泊者がビー玉を持参して客室の床に置き、転がるかどうかを確認する実験ですが、実際にはビー玉が転がることはほとんどありません。これは建物の内部構造が水平に保たれているためです。
マリーナベイサンズの構造を詳しく説明すると、外観は確かに52度の傾斜を持っていますが、客室や廊下などの内部空間の床面は完全に水平に設計・施工されています。これは居住性と安全性を確保するための基本的な建築技術です。
🎯 ビー玉実験の結果とその理由
場所 | ビー玉の動き | 理由 |
---|---|---|
客室内 | 転がらない | 床面が完全に水平 |
廊下 | 転がらない | 構造的に水平を維持 |
エレベーター内 | 転がらない | 垂直移動システムで水平 |
一部の傾斜部分 | わずかに転がる場合あり | デザイン上の意図的な傾斜 |
実際に宿泊した人々の証言によると、室内で生活している際に傾きを感じることはほとんどありません。ただし、窓から外を見ると景色が傾いて見えるという独特な体験ができます。これは建物の外観が傾いているため、窓の角度も通常の建物とは異なるためです。
一部のYouTubeチャンネルでは、実際にマリーナベイサンズでビー玉実験を行った動画が公開されており、多くの場合でビー玉は静止したままか、非常にわずかな動きしか見せていません。これらの実証動画は、建物内部の水平性を裏付ける証拠となっています。
ただし、建物のデザイン上、一部のエリアでは意図的に緩やかな傾斜が設けられている場合があります。例えば、雨水の排水を促進するための微細な勾配や、デザイン上のアクセントとしての傾斜などです。これらの場所では、ビー玉がゆっくりと動く可能性があります。
重要なのは、これらの動きが建物の構造的問題を示すものではなく、設計上の意図に基づくものであることです。宿泊客の快適性と安全性は最優先で確保されており、日常生活に支障をきたすような傾きは一切存在しません。
世界の傾斜建築物と比較すると突出している
マリーナベイサンズの52度という傾斜角度を世界の他の傾斜建築物と比較すると、その突出した数値が明確になります。現代建築において、これほど大胆な傾斜を持つ大規模建築物は他に類を見ません。
世界各地には様々な理由で傾斜した建築物が存在しますが、それらの大部分はマリーナベイサンズよりもはるかに小さな角度となっています。
🌍 世界の傾斜建築物詳細比較
建築物名 | 国 | 傾斜角度 | 高さ | 傾斜の背景 | 現在の状況 |
---|---|---|---|---|---|
ピサの斜塔 | イタリア | 5.5度 | 55m | 地盤沈下による事故 | 観光地として営業中 |
ボローニャの斜塔 | イタリア | 4.0度 | 97m | 地盤沈下による事故 | 修復済み |
プエルタ・デ・エウローパ | スペイン | 15度 | 115m | 意図的なツインタワー設計 | 正常営業中 |
キャピタルゲートビル | UAE | 18度 | 160m | ギネス記録狙いの設計 | オフィスビルとして営業 |
ザ・ゲート | カナダ | 30度 | 85m | アート性重視の設計 | 住宅・商業複合施設 |
マリーナベイサンズ | シンガポール | 52度 | 200m | 風水+デザインの融合 | ホテル・カジノとして営業 |
この比較表を見ると、マリーナベイサンズが如何に例外的な建築物であるかが分かります。特に注目すべきは、高さと傾斜角度の両方で他を圧倒していることです。
アブダビのキャピタルゲートビルは「世界で最も傾いたビル」としてギネス世界記録に認定されていますが、その傾斜角度は18度でマリーナベイサンズの約3分の1です。また、カナダのオリンピックスタジアムの傾斜タワーは45度の角度を持ちますが、これは高さが比較的低く、構造も単純なタワー形状です。
マリーナベイサンズが特に画期的なのは、52度という極度の傾斜を持ちながら、複雑な機能(ホテル、カジノ、ショッピングモール、会議施設)を一つの建物に統合していることです。これは建築技術と設計思想の両面で革新的な達成といえます。
これらの比較から、マリーナベイサンズは単なる「傾いた建物」ではなく、現代建築史において特筆すべき記念碑的作品であることが理解できます。世界中の建築関係者や観光客がこの建物に注目する理由も、この唯一無二の特徴にあるのです。
海外での反応は驚きと不安が混在
マリーナベイサンズの傾斜デザインに対する海外の反応は、驚嘆と不安が混在した複雑なものとなっています。建築関係者や観光客からは革新性を評価する声がある一方で、安全性を懸念する意見も少なくありません。
SNSやオンラインメディアでの反応を分析すると、以下のような傾向が見られます:
🌐 海外での主な反応パターン
反応タイプ | 割合(推測) | 主なコメント内容 |
---|---|---|
驚嘆・感動 | 約40% | 「今まで見たことがない建築物」「技術力の高さに感動」 |
不安・懸念 | 約30% | 「倒壊しないか心配」「宿泊するのは怖い」 |
建築的評価 | 約20% | 「革新的なデザイン」「建築史に残る作品」 |
その他 | 約10% | 「行ってみたい」「写真映えする」など |
肯定的な反応では、特に建築関係者や旅行愛好家から高い評価を受けています。世界的な建築雑誌では「21世紀の建築の象徴」として紹介されることが多く、デザインの独創性と技術的挑戦が評価されています。
観光客からは「一生に一度は見てみたい建物」「写真では伝わらない迫力がある」といった感動の声が多数寄せられています。特にインフィニティプールからの景色は「世界一の絶景」として多くの旅行ブログで紹介されています。
否定的な反応の多くは安全性への懸念に関するものです。「こんなに傾いて大丈夫なのか?」「地震が来たらどうなるのか?」といった不安の声が、特に地震の多い国の人々から聞かれます。
また、韓国の建設会社が施工したことに言及し、過去の建設事故を引き合いに出して懸念を示す意見も見られます。ただし、これらの懸念の多くは感情的なものであり、技術的根拠に基づいた批判は少ないのが実情です。
専門家の評価は概ね肯定的で、構造エンジニアや建築学者からは「計算に基づいた安全な設計」「現代建築技術の可能性を示す作品」といった評価が出されています。国際的な建築賞の候補にも度々挙げられており、専門分野での評価は確立されています。
まとめ:マリーナベイサンズの傾きは設計の特徴で安全性に問題なし
最後に記事のポイントをまとめます。
- マリーナベイサンズは最大52度の傾斜を持つが、これは設計段階から意図された特徴である
- 傾きの理由は風水思想を取り入れた「入」の字型デザインによるものである
- 設計者はモシェ・サフディ氏で、親密さと壮大さの融合という建築哲学が反映されている
- 施工は韓国の双竜建設が担当し、2年3ヶ月の短期間で完成させた
- 日本の清水建設やフランスのVINCIは安全性を理由に入札を辞退した
- ピサの斜塔の約10倍という世界でも類を見ない傾斜角度を実現している
- 倒壊の噂があるが、専門家は一貫して安全性に問題ないと評価している
- 500本以上の深基礎杭と最新の建築技術により安全性が確保されている
- 開業から15年経った現在も問題なく営業し、大規模拡張計画も進行中である
- ビー玉実験では室内の床面は水平で、傾きを体感することはほとんどない
- 世界の傾斜建築物と比較すると、角度・高さ・複雑性すべてで突出している
- 海外での反応は驚嘆と不安が混在するが、専門家の評価は概ね肯定的である
- シンガポール政府も重要な観光資源として位置づけ、継続的な安全管理を実施している
- 現代建築技術の進歩により、極端な傾斜でも安全性を確保することが可能になった
- マリーナベイサンズは建築史において記念碑的な作品として評価されている
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://haute-hotel.com/marina-bay-tilt/
- https://ameblo.jp/shiawaseninaritaidake/entry-12889019013.html
- https://luxehotelsworld.com/marinabaysands-demolition-when/
- https://premiumhotelworldline.com/marinabaysands/
- https://kensetsu-gyokai.com/marinabaysands-katamuki/
- https://tabitimes.com/singapore/marina_katamuku/
- https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12154443527
- https://www.sankei.com/article/20150110-LDZOYWPPJRNGJIKOSAHLS76N5I/
- https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12242704342
- https://kankoryokoinfo.com/singapore/marina-bay-sands-lean-true/